久々のお城ツアーと、リスのあくび

先週の土曜日、プラハから車で南東へ約1時間半のところにある、Žleby(ジュレビ)というお城に行ってきた。

ヨーロッパの「城」には大きくわけて2種類あり、主に中世の、敵の侵入を防ぐための要塞としての城と、近世以降の貴族や領主の居館とがあるが、今回は後者のほうだった。

プラハやチェスキー・クルムロフといった、超有名な観光地をのぞいては、チェコで観光といえば「城」である。

両タイプとも全土にまんべんなく散在していて、どれも特色があり、自然に囲まれているところが多いので、チェコ人は城に行くのが好きだ。

このジュレビ城、外壁や塔のたたずまいからわかるように、元は13世紀に要塞として建てられたものだ。

中世の戦乱期をへて、一時はやや荒廃したというが、19世紀半ばに城に居住していた伯爵家によりネオゴシック様式に改築された。

ネオゴシックというのは、いかにも「お城」という外観がロマンチックだということで、当時人気があったそうだ。

私は個人的には、豪奢な領主の館よりも、ごつごつして薄暗い中世の要塞のほうが興味をひかれるのだけれど、ジュレビ城はとても保存状態がよく、きれいに手入れされていて感心した。

どこのお城も、中を見るには数ある観覧コースから選んでガイドさんに案内してもらう。

今回は子連れだったので、いちばんオーソドックスで時間も短いコースにした。

こういうガイドツアーも久しぶりで、なんだか新鮮。

ここのお城は、チェコで一、二をあらそう武器と甲冑のコレクションを誇るそうだ。

私はあまり興味がないのだが、一緒のグループの人たち(全員チェコ人)はこの馬の前で、競うように写真を撮っていた。

部屋の内装は見事だった。下の写真で、壁の上半分は壁紙ならぬ「壁革」、牛(だったと思う)の革でできている。

右側の緑色の塔のようなものは、陶器の暖炉(ストーブ)。だいたいどの部屋にもあって、それぞれ豪華な絵付けや装飾がほどこされている。

中央上部の黒い額に入った絵は、見えにくいと思うが伯爵家の誰とかの肖像で(名前は聞いてもすぐ忘れてしまう)、当時超イケメンとして女性のあこがれの的だったらしい。

ふーんと思って、絵だけ正面から1枚撮ったのだが、帰宅して見たらなぜか消えていた。

隣の肖像画のご婦人の、怨念だったりして?!

下の写真の丸い物体は、旅行のとき水を入れて馬車に載せたそうだ。

最後は厨房を見学。広々としたキッチンは、今でもイベントのとき実際に使われ、ここで調理したものがふるまわれるそうだ。

下の写真にはちゃんと写っていないのだが、左奥の炉で火をたくと、その熱風を利用して天井近くの電球が点灯するしくみまである。

この城に人が住んでいたのが1942年までだそうなので、おそらく最後の頃のものだろう。

ちなみにチェコの多くの城と同様、ジュレビ城も共産主義政権の到来とともに国営化され、現在も国の管理下にある。

可憐な花の絵が描かれた、グラスのセット。

40分あまりにわたるツアーの最後まで、マスクを着け、家族以外とは2mほどの間隔をたもち、お行儀よく話を聞くみなさん。

いちばん右がガイドさん。おそらく大学生だと思う。とてもお話が上手だった。

4歳児には40分ひたすら人の話を聞くのはしんどかったようで、やっと外に出たときにはお互いやれやれだったのだが、庭園に行くと思いがけないお楽しみが待っていた。

入園チケットを買うとき、窓口のお姉さんが「あと数分で、鹿のエサやりが始まりますよ!」と教えてくれた。

この庭園はもともと、お城に住む領主のお狩場として造られたものだ。

大変珍しい「白い鹿」の飼育が行われていて、そのためにジュレビ城を訪れる人も多い。

「わーい、ゴハンだー!」と喜んで駆け出す鹿さんたち。

エサやりは本当に飼育員がエサを容器に入れるだけで終わってしまったが、それに続く形で猛禽類のショーが始まった。

写真には1人しか写っていないが、2人の鷹匠(?)が巧みな話術で笑いを引き出しながら、ハヤブサやフクロウ、タカ、ワシのショーを30分にわたって繰り広げる。

終わると、「ミニ動物園」と称する小さな飼育小屋を見に行った。

暑い昼下がりのこと、太い木の枝をめぐらせた小屋の中では、キツネも、ハリネズミも、みんな寝ている。

木の幹をくりぬいた穴に、何かが動いた気がしてのぞくと・・・

ちょうどその「何か」が寝返りをうつところだった。小さな顔をこちらに向けたのはリス、そのリスが、目も開けないままなんと、「あくび」したのだ!

それはもう眠くてたまらない、というような、アゴの外れそうな大きなあくびだった。

リスがあくびをするなんて、知らなかった。しかもその瞬間をこんな近くで目撃するなんて、大変貴重な経験をしたのではないか。

「リスのあくび、見たことある?ないでしょ?」と、一生自慢できるんじゃないだろうか。

子供ともども半日大満足で楽しんで、ジュレビ城をあとにしながら、そんなことを考えてニヤニヤした。(実はたいしたことなかったりして。)

先日紹介したキンレンカは、伸びすぎたところをカットしたらだいぶ落ち着いた。

目立つ花に誘われて、モコモコしたクマンバチが飛来しては、すっぽり花の中心に入って蜜を吸っている。

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Ako

チェコ在住15年を超えた40代女です。海外にいて「出身はどちらですか?」の問いに「東京です」と答えると、なぜかいつもガッカリされるのはなぜなんでしょう。好物はトマトと胡桃ゆべしです。

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